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楽曲解説 


カンタータ82番 BWV82

われは満ちたれり

Ich habe genug

初演 1727年2月2日
編成 バス独唱
オーボエ、弦楽合奏、通奏低音
用途 マリアの潔めの祝日(2月2日)

カンタータ56番と並ぶ、バスのソロカンタータの代表作。

イエスが誕生して一月ちょっとしか経っていないこの日、両親は赤ん坊のイエスを連れてお宮参りに行きます。そこで一家は、シメオン老人に出会うのですが、老人はイエスに出会うや、この子こそ待ち望んでいた救世主と悟り、幼子をその手にかき抱いて、「これで満足した、もう思い残すことなく世を去ることができる」と語りました。
このカンタータ82番は、このルカ福音書の物語に基づいて、苦難の多い「この世」から、キリストの救いによって永遠の安らぎである甘美な「死」の世界に旅立つ心情を歌っています。この曲は、カンタータ56番と並んで、バス独唱用のもっとも重要な作品です。

(以下の譜例をクリックすると出だしをmidiで聞くことができます)

第1曲 アリア 

編成:バス、オーケストラ、通奏低音

穏やかな弦の音形にのって、オーボエを従えたバス独唱が、満足してこの世を去っていくシメオンの心情を歌います。

第2曲 レチタティーヴォ 

編成:バス、通奏低音
前曲のアリアを、ルカ福音書のシメオンに言及して要約しています。前曲から受けついだ歌詞、Ich habe genug(私は満ち足りた)を、レチタティーヴォの最初と最後で強調しています。

第3曲 アリア 

編成:バス、弦楽合奏、通奏低音

子守唄のような曲想のアリアですが、非常に有名な曲で、バッハの声楽曲中でもポピュラーなものです。やわらかな器楽の序奏に続いて、「眠りなさい、疲れ果てた眼よ」と、永遠の平安と安らかな憩いを求めます。

第4曲 レチタティーヴォ 

編成:バス、通奏低音
「うるわしい死はいつ来るのでしょうか」と訴え、最後には静かなアダージョのアリオーソとなって、Welt, gute Nacht!(この世よ、さようなら)と結びます。

第5曲 アリア 

編成:バス、オーケストラ、通奏低音

最後の曲では、溌剌たるリズムの前奏に続いて、死への期待が、激しくまた喜ばしく歌われます。