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楽曲解説


カンタータ80番 BWV80

神はわが堅きとりで

Ein feste Burg ist unser Gott

初演 この形での初演は1727-31年頃の10月31日。原曲は1715年3月24日、改作は1727-31年
編成 独唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)、 4声部合唱
オーボエ3(オーボエダモーレ、オーボエダカッチャ持替)、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、通奏低音
用途 宗教改革記念日(10月31日)

マルチン・ルター作と伝えられるコラール「神はわが堅き砦」に基づくコラール・カンタータです。このコラールはわが国でも賛美歌や聖歌集にとりあげられ、広く親しまれています(下譜例)。宗教改革記念日にふさわしく、戦闘的で勇壮な表現が多く、バッハの作品の中でもよく知られたものです。(コラール・カンタータについてはカンタータ78番の解説を参照)

(以下の譜例をクリックすると出だしをmidiで聞くことができます)
また、をクリックすると、2000年2月のコンサートでの演奏を、MP3形式で聞くことができます。

第1曲 コラール合唱 

編成:合唱(4声部)、オーボエ3、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、通奏低音
midi available

第1曲は合唱と弦ユニゾンの4声部および通奏低音からなるフーガですが、いきなりテノールが「神はわが堅き砦」と歌い出します。このテノールの旋律は、コラール定旋律を少しだけ変形したものであり、主役であるコラールが、始まったと同時に誰にとってもわかるようになっています。フーガの提示が最高潮に達すると、オーボエとコントラバスが、コラール旋律の原型を高らかに奏でます。以下、同様の展開で、コラールの歌詞が解釈され説明されていきます。強固な信仰を象徴する力強いコラール旋律と、その間に現れる声楽部のフーガとによって、充実した堅牢な音楽となっています。

第2曲 アリア 

編成:ソプラノ、バス、オーボエ、弦楽合奏、通奏低音
midi available

弦ユニゾンの前奏に導かれて、ソプラノ独唱が「されどわれらに代わりて戦う真の勇士あり。その御名はイエス・キリスト」というコラールの第2節を歌いますが、その間バス独唱は急速なパッセージで「すべて神によりて生まれし者は、勝利の民たるべく選ばれしなり」と説明していきます。

第3曲 レチタティーヴォ 

編成:バス、通奏低音

バスがイエスの愛を思い起こすよう語りますが、末尾のアリオーソになると「キリストの御霊 汝に堅く結びつきたまわんことを求めよ」の歌詞を繰り返して強調します。

第4曲 アリア 

編成:ソプラノ、通奏低音
midi available

前のレチタティーヴォを受けて、ソプラノが「来ませ、わが心の家に、主イエス、わが慕いまつる君よ」とたいへん叙情的なアリアを歌います。

第5曲 コラール 

編成:合唱、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダカッチャ、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、通奏低音
midi available

全オーケストラがこの世の厳しさをあらわすかのような激しい音形を展開する中で、声楽は、キリスト者の一致団結を思わせる全声部ユニゾンで、コラール定旋律を歌います。歌詞の「たとえ悪魔われらを呑み尽くさんとするとも、勝利はついにわれらのもの」を反映して、闘志いっぱいで戦いに挑む姿そのままです。

第6曲 レチタティーヴォ 

編成:テノール、通奏低音

「キリストの血に染みし御旗のもとに、おお 魂よ、堅く立て」と決心を述べますが、歌詞中のfreudig(喜んで)、gezwungen(遁れて)、Hort(避け所)という単語に細かい音符が割り当てられて強調されていることが目を引きます。

第7曲 アリア 

編成:アルト、テノール、オーボエ・ダカッチャ、ヴァイオリン独奏、通奏低音

ヴァイオリンとオーボエ・ダカッチャの室内楽のようなオブリガートにつつまれた、アルトとテノールが穏やかなアリアです。「いかに幸いなるかな」と、戦いの後のキリスト者の平安を述べます。しかし中間部で器楽が固い音形に変わると、歌詞は「その心は不抜にして動ぜず」となり、その後「死に打ち勝ちたるとき」の部分でオブリガート楽器は沈黙して通奏低音だけの伴奏となって暗いト短調に落ち込んでいきます。声楽はそのまま終了し、オブリガート器楽だけが初頭の穏やかな音楽に戻って終止します。

第8曲 コラール 

編成:合唱、オーケストラ、通奏低音

形どおり四声体の簡潔な形でコラール定旋律が歌われ、「神の国は なおわれらに留まるなり」と、宗教改革記念日のカンタータを結びます。