Ensemble Bach Home Page


楽曲解説


カンタータ78番 BWV78

イエスよ、わが魂を

Jesu, der du meine Seele

初演 1724年9月10日 再演1730年代中頃
編成 独唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)、4声合唱
フルート、オーボエ2、ヴァイオリン1・2、ヴィオラ、通奏低音、(コラール声部の補強としてホルン)
用途 三位一体後第14主日

バッハのカンタータには、コラール・カンタータと呼ばれる一群がありますが、このカンタータ78番はその代表的なものです。コラール・カンタータは、ある特定のコラールの各節をそのまま用いたり、原意を残したまま詩句を要約したり拡大したりして、全曲の歌詞の統一が図られたものです。また、バッハの属するルター派においては、ドイツ語の歌詞のコラールは、礼拝の中で用いられ、聴衆にとってもたいへんなじみ深いものでした。聞き覚えのあるコラール旋律が、バッハの手によって解釈され、またその魅力が一段と輝きを増して響き渡るのを聞いたライプツィヒの会衆は、どんな気持ちになったのでしょうか。
カンタータ78番で題材とされたのは、ヨハン・リスト作のコラール「イエスよ、わが魂を」"Jesu, der du meine Seele"(上譜例)です。12節からなるコラールは、第1節がカンタータの第1曲のソプラノ声部に旋律ごとそのまま用いられ、第12節(最終節)がカンタータの最終曲となっています。また第3、4、5、10節の一部は、そのままの歌詞で途中の楽章に現われます。

(以下の譜例をクリックすると出だしをmidiで聞くことができます)

第1曲 コラール合唱 

編成:合唱(4声部)、オーケストラ、通奏低音
midi available

第1曲は全体の半分近くを占める壮大なコラール・ファンタジーです。曲の最初に通奏低音にあらわれる、半音ずつ下降する音形は、そののち各器楽声部や声楽声部にも現れますが、この旋律によって楽曲全体がシャコンヌ形式としてまとめられています。この定旋律の上に、特徴的な美しい旋律が、フルート、オーボエ、ヴァイオリンによって提示されます。やがて、アルト、テノールの各声部に導かれて、ついにソプラノにコラール原旋律が姿をあらわしますが、このとき通奏低音とバスはシャコンヌ旋律を奏しています。すなわち、この第1曲は、コラール定旋律とシャコンヌ定旋律の2軸を持った複雑な構築物となっています。

第2曲 アリア 

編成:ソプラノ、アルト、通奏低音
midi available

ソプラノとアルトによって歌われる非常に有名な二重唱ですが、「われらは急ぐ、弱けれど弛みなき足どりもて」という歌詞をうけて、休まぬ足取りにも似た通奏低音によって愛らしい旋律が支えられています。

第3曲 レチタティーヴォ 

編成:テノール、通奏低音

「ああ! われは罪の子なり」という歌詞から始まりますが、このような内容により、たいへん変わった和声がつけられていることが印象的です。

第4曲 アリア 

編成:テノール、フルート、通奏低音
midi available

「わが咎をば抹消する尊き血しおは、わが心をふたたび軽くし」という曲想から、精妙な響きのフルートのオブリガートを伴ったアリアです。

第5曲 レチタティーヴォ 

編成:バス、通奏低音

バスのレチタティーヴォは、マタイ受難曲のイエスの部分にも似た、後光のような弦楽器伴奏つきで演奏されます。

第6曲 アリア 

編成:バス、オーボエ、弦楽合奏、通奏低音
midi available

バス独唱が、技巧的なフレーズを伴奏のオーボエと協奏曲的に演じます。

第7曲 コラール 

編成:合唱、オーケストラ、通奏低音

このカンタータの中心となったコラール「イエスよ、わが魂を」の最終節が簡潔に演奏され、「主よ、われ信ず、弱きわれをば助けたまえ」との思いで全曲を締めくくります。