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楽曲解説


ヨハネ受難曲 BWV245

Johannes-Passion

初演 1724年4月7日、再演1725年3月30日/1732年4月11日/1749年4月4日
編成 独唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)、4声部合唱
フルート2、オーボエ(オーボエダモーレ・オーボエダカッチャ兼)、ヴァイオリン1・2、ヴィオラ、ヴィオラ・ダモーレ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート(またはオルガンあるいはチェンバロ)、通奏低音
用途 受難日

○合唱の取り扱い
ヨハネ受難曲は、よくマタイ受難曲と比較されるが、合唱のウェイトが大きく、ソロによって歌われるアリアの数が少ない。
○トゥルバ合唱
ヨハネ受難曲のテキストには「群集が○○と言った」という引用文が多いため、福音史家のレチタティーブの合間に合唱曲が入るという構成になる。したがって、受難という物語を進めるにあたり、合唱がたいへん重要な役割を担っている。合唱は、時には逮捕に向かう小役人として不安げに"ナザレのイエスを"と言ったり、民衆としてペテロを詰問したり、祭司長として理路整然と「カイサルのほかに王なし」と答え、「十字架につけろ」と叫び、ついにはイエスの衣をくじ引きで分け合うことまで行う。
○コラール
劇中人物の役割を離れると、合唱は、出来事や発言の意味は何だったのだろうかと、コラールにおいて神学的な内省を行う。
○アリア
重要な場面で挿入されているアリアでは、やや情緒的に、心情を述べる。
○冒頭・終曲合唱
全体を、前後の大規模な合唱曲が囲み、さらに終曲としてひとつのコラールが歌われる。
歌詞としては冒頭合唱の歌いだし「主よ、誉れ高き統治者よ」と終曲コラールの最後の言葉「私はあなたを讃美します、永遠に」がシンメトリックに対応するとも言える。

  譜例をクリックすると、曲の出だしがMIDIで聞けます。

no タイプ 内容概略・聖書句部分は色付で表示
* 第1部
1 冒頭合唱 主よ、誉れ高き統治者よ

2 福音史家・イエス・合唱 (聖書句)ユダの手引きする役人や兵隊たちがイエスのもとにやってくる。
3 コラール おお、大いなる愛
4 福音史家・イエス (聖書句)イエスが剣を抜いた弟子をいさめ、父なる神に与えられた杯は飲まねばならないと語る。
5 コラール 主なる神よ、あなたのみ心の行われんことを
6 福音史家 (聖書句)イエスは捕らえられ、ハンナスのもとへ連れて行かれる。
7 アリア(アルト) 罪の縄目から私を解き放つために
8 福音史家 (聖書句)ペテロともう一人の弟子が、イエスのあとをそっと追っていく。
9 アリア(ソプラノ) 私も喜んであなたの後に続き
10 福音史家・ソプラノ・テノール・バス (聖書句)大祭司がイエスを詰問するが、イエスは公の場所で話したことだから聞いた人に尋ねればよいと答える。それに対し小役人が平手打ちをする。
11 コラール 誰があなたを打ったのでしょうか
12 福音史家・テノール・バス・合唱 (聖書句)ハンナスはイエスを大祭司カヤパの元に送る。ペテロはまわりの群集に見つかり、イエスを知らないというが、イエスの予言を思い出し、外に出て激しく泣く。
13 アリア(テノール) ああ、わが心よ、最後にどこに逃れようというのか
14 コラール ペテロは主の警めを思い返さず
* 第2部
15 コラール 私を救いたもうキリストは、なんの悪事もしていないのに
16 福音史家・イエス・バス・合唱 (聖書句)イエスはカヤパのもとからローマ総督ポンテオ・ピラトのところに引いていかれる。ピラトは群集と交渉するが、群集は「悪いことをしていない者を連れてくるわけないでしょう」「われらには死刑にする権限がない」と言い張る。ピラトの問いにイエスは、私の国はこの世のものではないと答える。
17 コラール ああ大いなる主よ、あなたの真実をどうやったら述べ伝えることが出来るでしょう
18 福音史家・イエス・バス・合唱 (聖書句)ピラトのおまえは王なのかとの問いに、イエスはわれは王なり、真理について証せんために来たり、と答える。ピラトは再びユダヤ人の前に出て、イエスには何の罪も見当たらないし、祭りの習慣としてイエスを恩赦することを提案するが、群集は「この者ではなく、バラバを赦せ」と叫ぶ。ピラトは仕方なくイエスを鞭打ちに処す。
19 アリオーソ(バス) 私の魂よ、見てごらんなさい
20 アリア(テノール) よく考えてみなさい、血に染まった彼の背が
21 福音史家・イエス・バス・合唱 (聖書句)兵隊たちはイエスをからかい、茨の冠をかぶせ緋色の打掛けを羽織らせて「安かれ、ユダヤ人の王」といってからかう。祭司長や役人は、十字架につけろと叫ぶ。しぶるピラトに対し、群集は「自分を神の子といったのだから、われわれの法律によれば死罪にあたる」という。ピラトは困り、イエスに問いかけ、自分には生死を決める権限があると言うが、イエスは、あなたの権限も上から与えられものに過ぎないでしょうと答る。ビラトは賢明なイエスを何とか救いたいと思う。
22 コラール あなたが捕らわれたことによって、私たちに自由がやってきました
23 福音史家・バス・合唱 (聖書句)ユダヤ人は、「もしイエスを開放したら、ローマ皇帝の忠臣とはいえない」とピラトを責める。ピラトはようやく裁きの座につく。「十字架につけろ」と叫ぶ群衆に、ピラトはおまえたちの王を十字架につけるのかと問い掛ける。群集は、「カエサルのほかに王なし」と答える。ついにピラトは、十字架につけるためにイエスの身柄を群集に引き渡す。イエスは背に十字架を負って、ゴルゴタへと進む。
24 アリア(バス・合唱) 急げ、悩める魂よ
25 福音史家・バス・合唱 (聖書句)他の罪人とともに、イエスを十字架につける。ピラトは罪状書に「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と記す。祭司長たちは、「ユダヤ人の王と自称していた、と書き直せ」というが、ピラトは取り合わない。
26 コラール 私の心の奥底には、あなたの御名と十字架だけが輝いて
27 福音史家・イエス・合唱 (聖書句)兵士たちはイエスの衣をくじ引きで分け合う。イエスは十字架の上から母マリア、マグダラのマリアやその他弟子たちがいるのを見て、声をかける。
28 コラール 最後の時に臨んでも、すべての上に御心を配られます
29 福音史家・イエス (聖書句)イエスは「われは渇く」、「こと終わりぬ」という。
30 アリア(アルト) こと終わりぬ
31 福音史家 (聖書句)かくて、首をたれて息を引取りたもう。
32 アリア(バス・合唱) (バス)私の救い主よ、質問させてください
(合唱)コラール=イエスよ、死してなお限りなく生きられ
33 福音史家 (聖書句)そのとき、神殿の幕が裂け、地は震い、岩は裂け、墓が開いた。
34 アリオーソ(テノール) わが心よ、すべての世界がイエスの痛みをわかちあう今
35 アリア(ソプラノ) 融けて流れよ、わが心よ
36 福音史家 (聖書句)十字架からおろされ、イエスの死の確認
37 コラール おお、力を与えたまえ、キリスト、神のみ子よ
38 福音史家 (聖書句)イエスの埋葬
39 合唱 憩え、安らかに
40 コラール ああ主よ、あなたの御使いに命じて、最後に臨んだ私の魂を、アブラハムの懐に連れて行ってください。残れる肉体を、その臥所に、苦しみも痛みもなく安らかに憩わせてください。しかし、終わりの日が来たら、私を死より呼び覚まし、私の目で御顔を拝ませてください。喜びあふれる御国にて、おお、御子、わが救い主、恵みの御座よ。主イエス・キリスト、わが祈り、わが願いを聞き入れてください。私はあなたを讃美します、永遠に。
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