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楽曲解説


カンタータ106番 BWV106

神の時こそ いと良き時

Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit

初演 1707年
編成 独唱(アルト、テノール、バス)、4声合唱
ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音
用途 葬送

バッハがミュールハウゼンの聖ブラジウス教会のオルガニストであった1707年に作曲された、カンタータとしてはもっとも初期の作品の一つです。作詞者は不詳ですが、おそらく、10月8日に亡くなった叔父のトビアス・レンメルヒルトの葬儀のために作曲されたものだろうと思われています。
ライプツィヒ時代のレチタティーヴォ-アリアという形式ではなく、一つの楽章の中で、曲想の異なる合唱やソロが切れ目なく続くことが特徴的です。
なお、ミュールハウゼンのオルガンのピッチが高かったため、合唱やオルガンはコアトーンの変ホ長調、ブロックフレーテのみはカンマートーンのヘ長調で記譜されていますが、新バッハ全集ではヘ長調が採用されています。

(楽譜をクリックすると、曲の出だしをMIDIで聞くことが出来ます。)

第1曲 ソナティナ

編成:ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

声楽をまったく用いない、いわゆるシンフォニアです。短いながらもブロックフレーテとヴィオラダガンバの渋い響きが美しい佳曲です。


第2曲 合唱とコラール

第2曲A 合唱
編成:合唱、ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

ソプラノがGottes Zeit(神の時こそが最上の時)と先導してホモフォニックに歌いだしますが、すぐに3拍子のフーガ(神においてわれらは生きる)となります。その後アダージョ(神において死するのは正しい時)となり次部分を準備します。

第2曲B アリオーソ
編成:独唱テノール、ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

楽器群の豊富な伴奏を伴って、Lentのテンポでテノールが Ach, Herr! (ああ、主よ、死を思うことを教えてください)と歌います。

第2曲C アリア
編成:独唱バス、ブロックフレーテ2、通奏低音

前曲からそのままつながり、再び速いテンポの3拍子となって、バスがBestelle dein Haus! (あなたの家を準備しなさい)と歌います。

第2曲D 合唱
編成:合唱、ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

やはり前曲から続けて、Es ist der alte Bund (それは古い掟、人は死ななくてはならない)とアルト以下の3声の合唱でフーガが始まりますが、すぐにソプラノがJa, ja, Komm, Herr Jesu (さあ、イエスよ来てください)と割って入ります。そこに楽器群がIch habe mein Sach Gott heimgestellt (わがことは神にゆだねます)というコラール旋律で加わります。3群の旋律が豊穣に絡み合ったのち、末尾ではソプラノだけが残り、消え入るようなピアニッシモのHerr Jesu! の声で終わります。

第3曲 アリアとコラール

第3曲A アリア
編成:独唱アルト、通奏低音

アルト独唱が通奏低音だけを伴って、In deine Hände(あなたの手にわが魂を)と歌います。

第3曲B アリオーソ
編成:独唱バス、合唱(ソプラノ)、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

前曲のアルトを受け、バス独唱が通奏低音だけを伴って、Heute, heute, wirst du mit mir (今日こそ、あなたは私とともに楽園にいるであろう)と歌い始めます。しばらくのち、このバスのアリオーソに、2声のガンバと同時にソプラノが有名なコラールMit Fried und Freud ich fahr dahin (平安と歓喜もて われはいく)で重なります。バスのアリオーソはいつしか聞こえなくなり、コラール旋律とガンバの後奏が残ります。

上記譜例は中間部

第4曲 合唱

編成:合唱、ブロックフレーテ2、ヴィオラダガンバ2、通奏低音

楽器の前奏に続いて、Glorie, Lob, Ehr und Herrlichkeit (栄光と讃美と名誉が父と子と聖霊なる神にありますように)が、コラール In dich hab' ich gehofft, Herr! (主よ、汝のうちに我は望む)の旋律にのせて歌われます。やがてAmen(アーメン)がフーガで華やかに歌われますが、最後にはブロックフレーテとガンバだけが残り、こだまのようにアーメンの音形を弱音でなぞって曲が閉じられます。